4年ほども前に書いたものですが、試乗レポートを一つ。
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今、都合で1ヶ月ほど嫁の実家(車で2時間あまり)でバイクを預かってもらっており、バイクに乗れない。
悶々とした日々を過ごす中、バイク雑誌を買いあさったり、ツーリングに行く夢をみたりと、ほとんど禁断症状みたいな状態になり、そんなところに、以前冷やかしに行ったことのあるBMWのディーラーから、DMが来た。
R1200RTがモデルチェンジして、試乗車を準備したので…とのこと。
ちょうど、発売されたばかりのCB1100の試乗車が出回り始めた時だったんで、最新のビッグマシンを2車、まとめて試乗に行くことにした。


まずはCBから。
遠足に行く小学生みたいにワクワクして、開店10分前ぐらいから、店の前を車で2~3回往復した。
ようやく開店時間になって、いざ試乗。
一通り説明を聞いて跨って…メーターを見ると、走行距離はなんと3km!
下ろしたてまっさらの新車だ。
軽くアクセルを煽る。
ひゅん、ひゅん。
ホンダのマルチらしく、軽く、静かに、よく回るエンジンだ。
スポスタとは正反対の性格ながら、これはこれで、イイかもしれない。
10分あまりの試乗コースで、満喫できた…とは言い難いが、それでも、このバイクの魅力は十分に感じ取れた。
感想は、やはりどうしても、普段乗っているスポーツスターとの比較になる。
まず、加速感は…当然ながら不満など全くない。
流れにのって走る時も、そこからの追い越し加速でも全くもってスムーズだ。
雑誌の前評判によると、「あえて高回転高出力をねらわず…」とのことだが、確かに1100ccもあれば、無理をせずとも動力性能面では十分なのだろう。
それだけ、設計の余裕度が高く、設計者の思い通りのセッティングができるということなのだろう。
小さめのタンクのせいか、実際のディメンジョンよりもコンパクトなイメージに仕上がっており、これも好印象だ。
フィンの厚みにまでこだわったという空冷のエンジンから、エキゾーストにかけての造形も美しい。
ただ、我々おじさん世代への訴求という意味からすると、マフラーが一本出しというのはどうだろう。
かつての「ヨンフォア」を彷彿させる…と言えなくもないが、これは当時も賛否両論、好みがわかれたのではなかったか。
CB750の後継を謳うなら、そして、かつての「ナナハン」CB750FOUR Kシリーズのイメージを追うなら、左右シンメトリーの、それも思いきって4本出しでも良かったぐらいではないかとも思えるのだが。
いずれにしても、素直に「欲しい!」と思えるバイクである。

次に向かったのは、BMWディーラー。
自宅からはわずか数分のところにある。
あえてハーレーのキャップをかぶって店内に入ると、店員の一人が、意味ありげな笑みを浮かべて近付いてきた。
「お約束」的に、きちんと反応してくれたと言ったところか。
「いらっしゃいませ。今日はどう言った…」
「新型1200RTの試乗ができるって、DMをいただいたもので。」
ところが、RTは他の店舗に回していて、この日は試乗できないとのことで、とても恐縮している。
少し前に同様のモデルチェンジをした、R1200GSならあるとのこで、今回はこちらに試乗させてもらうことにした。
試乗車を前にして、まず、その車高には少なからず気後れした。
身長は173cmと、それほど低いわけではないが、普段乗っているのが極端に低いスポスタだけに、隣に立っただけでかなりの威圧感を感じる。
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一通りの操作説明を聞きながら、車高のことを言うと、シート高を2段階で調整できるとのこと。
確認したところ、元々低い方になっていたのだが…
説明では、電子制御サスペンションや燃費計算など、至れり尽くせり。
さすがドイツ車、ハーレーとはエラい違いである。
いざ走り出すにあたって、試乗コースを聞いたところ、特に決まっておらず、時間も3時間あまりもOKとのこと。
しかもETCカード付で自由に使ってもいいという。
さすがにカードは使わなかったが、時間のほうはたっぷり使わせてもらった。
話のタネにと、そのまま自宅に乗って帰り、妻、息子、娘と順番にタンデムで一回りする余裕もあった。
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取り回しでは、さすがに重心の高さは感じるものの、車重自体は比較的軽く、特に不安感はない。
跨ると、両足の踵が少し浮く程度。
その状態での移動も、ハーレーのように両足でベタベタ…とは行かないものの、案じるほどのこともなかった。

走り出して最初に感じたのは、意外に鼓動感があること。
鼓動などはハーレーの専売特許…ぐらいに思っていたので、これは少し驚きだったが、大排気量のツイン、考えてみれば当たり前ではある。
この鼓動・振動は、スポスタとは違って、3000rpmを超えたあたりで消えてなくなり、あとはひたすらスムーズでパワフルになってくる。
というよりも、スポスタの場合はすぐに頭打ちになってしまうだけのことではあるのだが。
もちろん試してはいないが、200km/hぐらいは楽に出てしまいそうな、そして、出したくもなるバイクである。
まったく、すばらしい…
ただし、やはりどこかで「自分のスポスタがいちばん」と、納得したい気持ちがあるようで…
まず、低速域のトルクはやはりハーレーの、スポスタの勝ちといえる。
低回転でクラッチミートした後のダッシュ力は、格段の差が感じられた。
普段のスポスタのつもりでスタートすると、エンストしそうになる場面も何度かあったぐらいだ。
もちろんこれはスポスタ1200と比べての話であって、このマシンだけを見れば、大排気量ツインらしい図太いトルク特性…という印象になるはずだ。
一つ残念だったのは、GSのエンジンは、ややがさつな、フリクションを感じることがあった。
もっともこれは、試乗車の走行距離がまだ数十キロと新車同然のせいで、もう少したってアタリが出てくれば解消するものかもしれない。
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大柄で威圧感たっぷり、ある意味「威風堂々」で、なおかつハーレーとは違う「玄人好み」で、そのオーナーは「バイクには一家言あり」といった印象の、なかなかに手強いバイクである。


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